センチメンタルグラフティ20周年スペシャルイベント 〜再会〜/およそ考えうる限り最高に幸福なファンイベント
1号です。
すっかりももクロファンブログとなって久しい(さらに更新もさっぱりしていない)当ブログですが、久しぶりにレビューを書かせていただきます。
公演名:『センチメンタルグラフティ20周年スペシャルイベント 〜再会〜』
開催日:2019年1月19日(土)
第一部「20周年スペシャルトークショー」[開場]13:00/[開演]14:00
第二部「20周年スペシャルコンサート」[開場]18:00/[開演]19:00
会 場:一ツ橋ホール(神保町)
出演者:有島モユ/岡田純子/今野宏美/鈴木麗子/鈴木麻里子/豊嶋真千子/西口有香/前田愛/満仲由紀子/米本千珠
主 催:センチメンタルグラフティ20周年プロジェクト
制作・運営:セブンセンシズ、ディスクガレージ
協 力:MAGES.、青二プロダクション、TABプロダクション、ポンテ
1号はクラウドファンディングに応募して第二部のみ参加しましたが・・・
本当に、本当に幸福なイベントでした。
企画者であり出演者でもあるSGガールズ(出演声優のみなさま)、そして企画実現に力を貸してくれたスタッフの皆さまに、一人のファンとして篤く篤く御礼申し上げます。
心震わせる、素晴らしく幸福な時間をありがとうございました。
何がこんなに心を震わせたのか
御礼だけではブログ記事でもなんでもないので、なぜこれほどまでに心震えたのか真面目に分析して感謝の気持ちの表明としたいです。
ポイントを3つに絞って、順に書き綴ります。
☆ファンイベントだった
☆出演声優が企画発起人だった
☆「センチ」を好きでいる事を承認される場だった
ファンイベントだった
まず最初にこの点に触れなければなりません。
驚くべきことに、このイベントが「ファンイベント」だったことです。
近年では周年企画も珍しくなくなりましたが、大きく分けると権利元主導のものと、ファンが権利元の協力を得て自主開催するものがあります。
昨年で言えば前者はセーラームーン25周年プロジェクト、後者がserial experiments lain20周年企画イベントなどでしょうか。
前者は消費の再喚起が主目的です。アニメの放送やゲームの発売当時まだ子どもや学生だったファンも、周年企画の頃には自由にできるお金を持った大人になって、当時は手が出なかったものを買ってくれたりしますので。
だから予算も付きますし、派手な動きもできたりします。
一方でファンイベントは、ファンのファンによるファンのための手作りイベントです。
素人っぽいですし大掛かりなことはあまりできません。
権利元の協力を得て、当時のスタッフやキャストが来てくれることもあります。
CAMPFIREでクラウドファンディングを募って、という流れから考えれば今回の「センチメンタルグラフィティ20周年スペシャルイベント〜再開〜」もファンイベントの括りだろうと思われるかもしれませんが、1号は斜に構えておりました(今となっては本当に申し訳ない気持ちですが)。
主催者の前面に立っているのは声優さん達だし規模も大きそうだし、裏に仕掛け人もいるプロっぽいイベントなんだろうと高をくくっていたのですよ。
それが実際に観てみたら(生バンドだったり会場が大きかったりはしつつも)良い意味で素人っぽいというか、ファンがファンのためにファンの観たいものを実現した手作りイベントがそこにありました。
第二部の公演内では何の説明もされてませんが、岡田純子さんが緊張の面持ちでソロ曲の1コーラスを歌い終えると有島モユさんが出てきて2コーラス目を二人で歌う演出なんて、ファンじゃないと分からないし「あの時代」を共有したファンでなければその真の価値は伝わらない*1。
さらにその後、公演日が彼女たちの演じた安達妙子の誕生日ということで2人と会場のファンがハッピーバースデーを歌うわけです。プロの演出家は進行のスムーズさとか気にしちゃうのですが、そんなものはファンイベントではどうでもいいんですよ。第二部の全編を通じて「ファンの観たいもの」が最優先されていたのは、いちファンとしてとても嬉しかったです。
選曲も素晴らしかった。
恥を忍んで申し上げますと、1号は個人的に「Long Distance Call」と「君がいれば」の2曲には特に強い思い入れがあり、この歳になって生で聴く機会を得られた感動に思わず曲中に泣きました。隣に座っていた方も別の曲で泣いてました。それぞれにある思い入れに寄り添った優しいイベントでした。
出演声優が企画発起人だった
そして見逃せないのが次のポイントです。
驚くべきことに、当時の出演声優だった方々が「センチを大切に思うファンの一員」として今回の企画を実現してくれたのです。
20年という歳月は長いです。
この期間にリアルアイドルでは「モーニング娘。」と「AKB48」の栄枯盛衰があり、さらに後の世代である「ももいろクローバー」ですら結成10周年を迎えました。
声優ユニットも洗練されて「μ's」と「Aqours」は紅白歌合戦に出場、「THE IDOLM@STER」は容姿と歌唱力に恵まれた有望若手女性声優たちの登竜門となりドーム級の会場で定期的にライブをする時代です。
プロジェクトが立ち上がった90年台後半には新人声優として同じスタートライン*2に立っていた彼女たちも辿った人生は様々で*3、声優として大成した人もいれば志半ばで廃業した人もいる。
彼女たちも今や40代。あまり年齢のことを書くのもマナー違反でしょうが、最年長は50歳を越えています。世間的には“オバサン”と呼ばれる年齢です。
また女性として40歳を越えれば相応のライフイベント(結婚、出産、育児、もしかしたら離婚や親の介護も)があり、MCでも生活環境が様々であったことが垣間見えました。
そんな中20年も前に出演したゲーム作品のために出演キャストの大多数が集まり、発起人としてイベント制作業務をしつつ演者としてパフォーマンスの準備もしてくれた。
CAMPFIREで支援をすると定期的に活動報告が届くので「レッスンしてます♪」みたいなメッセージは読んではいたものの、会場で聴いてはっきり分かるくらいに歌唱用ボイトレの成果が見て取れて1号は衝撃を受けました。
ほとんどの出演者は人前で歌を披露する機会なんてなかったはずです。イベント当日に向けて、真摯に各人ができる精一杯の努力をしてきてくれた事に心が震えました。
ぶっちゃけイベント制作は面倒です。準備だって大変です。
CAMPFIREを利用したことで事務手続きは通常のイベント以上に煩雑だったはずです。
声優イベントなんて声優事務所から「あれもNG」「これもNG」と言われる中、お金を積んでどうにか形にするようなものもたくさんあるわけですよ。
そんな中、お金や出演機会が欲しいだけではとても割に合わない大変な作業をしてくれた。
彼女たちを突き動かし、今回の企画を実現させた原動力はひとえに「センチメンタルグラフィティという作品への愛」だった。
ちょっとクサい書き方ですが、これが第二部を現場で観た1号の偽りない印象です。
「センチ」を好きでいる事を承認される場だった
ここまで書いてきた事と包含関係にあるポイントですが、今回の「センチメンタルグラフィティ20周年スペシャルイベント〜再会〜」がこんなにも特別に心を揺さぶられたのは、センチメンタルグラフィティを好きでいることを承認してもらえる愛に溢れたイベントだったゆえではないかと思います。
客観的に見ると、まあまあ気持ち悪い空間なわけですよ。
出演者はオバサンだし、客席にいるのは(1号を含めた)垢抜けない中高年男性ばかりです。
そんなオッサンたちが必ずしも上手とは言えないパフォーマンスを観て必死で応援したり泣いたりしてるんですよ。
実際、イベントスタッフの大学生とかに地獄絵図だと思われても仕方がない。
でも全然そんなこと気にならないのですよ
これはイベント主催側の作ってくれた「僕たち自身も『センチメンタルグラフィティ』のことを大好きで、同じ気持ちを持って集まってくれた人たちと好きを分かち合いたい」という雰囲気のおかげだったと思います。
出演者のSGガールズは20年前当時と同じように僕らの愛するヒロイン達を背負い表現するアイドルとして熱狂するに相応しい人たちでした。
若い方に当時の空気を伝えるのは難しいのですけど、数多あるギャルゲーの中でも「センチメンタルグラフィティ」はファンを名乗るのがちょっと恥ずかしいという風潮があったのです(検索すれば色々と出てきます)。
1号自身も含めて、20年も経ってセンチのためにわざわざ集まった人たちというのは本当に作品が好きだった人たちなんですよね。そんな人たちが同窓会気分で青春時代を思い返して温かい気持ちになれました。
演目や演出も「センチメンタルグラフィティが好きな人たちが集まる会に相応しいか」をとても真剣に考えてくれていたのです。
描き下ろしにしても歌にしても衣装にしても「このイベントには必要」と思ったから大変でも実現してくれたのだと思います。
センチメンタルグラフィティのことを大切に思っていてくれて、ありがとう。
ちゃんとした歌を届けようと努力してくれて、ありがとう。
キャラクターを意識した可愛い衣装を着てくれて、ありがとう。
思春期のお子さんがいたとしたらごめんなさい。
フィナーレ挨拶のトリとして豊嶋真千子さんが代表で話してくれた「このような場を持ちたいとずっと思っていた」「イベント本番までとても遠く感じられて本当に実現できるか不安になったこともあった」「長い時間を経たにもかかわらずたくさんの支援をしてくれた人たちに感謝します」というメッセージ、言葉にしてもらう前から十二分に伝わっていました。
「愛」がこもったイベントを作るのはとても難しいです。
それは、技術やお金を投入して「作る」ものではなく、パフォーマンスから「勝手に滲み出す」ものだからです。
よもや自分の人生を変えたゲーム作品のイベントで行き会うとは思いもしていませんでした。
現場に立ち会うことができて光栄でした。
結び
1号自身はささやかな支援しかできませんでしたが、人生でも特別に幸せな約2時間を過ごさせてもらい感謝しています。
発起人として並々ならぬ情熱を注いでくれた出演者の皆さま、それを支えてくれたスタッフ関係者の皆さま、クラウドファンディングを通じて「好き」を形にする手助けをしてくれた同志の皆さま、本当にありがとう。