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Port B『Referendum - 国民投票プロジェクト』クロージング集会

1号です。

9月から11月にかけて、東京都と公益財団法人東京都歴史文化財団の主催により舞台芸術の国際フェスティバル「フェスティバル/トーキョー11」が都内各所で開催されています。

その中でPort Bという劇団(?)が毎年独特な公演*1を行っていると教えてもらったので、『Referendum - 国民投票プロジェクト』のクロージング集会と映像インスタレーションに参加してきました。

Port B『Referendum - 国民投票プロジェクト』
会場:東京都内各所、横浜スタジアム周辺、郡山、いわき、福島、会津若松/クロージング集会会場:豊島公会堂/期間:2011年10月11日〜11月11日(and more...)/構成・演出:高山明フェスティバル/トーキョー11内紹介ページ公式ページ

『Referendum - 国民投票プロジェクト』は演劇スタイルの公演ではありません。
つまり、同じ演目を繰り返し劇場内で観客へ披露するものではありませんでした。

公演は、中古の冷凍車を改装したキャラバンカーが全国各地を巡る「映像インスタレーション」と、巡った先で行われる「フォーラム」と呼ばれるトークショーによって構成されています。1号が観てきたクロージング集会はそのフィナーレという位置付けです。

キャラバンカーへの入場にはチケット代500円(キャラバンカーの行く先々でも入場可能なフリーパス)、フォーラム参加には都度1000円の入場料がかかります。

このキャラバンカーは擬似的な「国民投票所」になっています。

かつては冷凍庫だった空間に複数の映像を見るための視聴ブース(タワレコの試聴台のような感じ)があり、奥に投票所を模したコーナーがあります。
各視聴ブースの中には、東京と福島の中学生の名前ラベルの付いたDVDが置かれています。氏名があ行の子のDVDが置かれたブースから、わ行の子のDVDが置かれたブースがズラッと左右に並んでいます。
参加者は「国民投票」を行う前に思い思いのブースへ座り、DVDを選んでプレーヤーに入れ中学生のインタビュー映像を観ます。

ひとりしきり映像を観た後、参加者は奥へ進み「国民投票用紙」と書かれたアンケート用紙に思ったことを書き込みます。その質問内容は原発の賛否を問うようなものではなく、DVDの中で中学生たちがインタビューされていた内容と同じものから数個選ばれています。

質問項目は、キャラバンカーが停泊している場所によって変わり、恐らく各停泊場所の持つ“意味”に対応したものが選ばれています。

そして我々は「さっきの中学生たちはこう答えていたな」という情報をインプットされた状態で、この質問に対して今の自分はどう答えるのかを迫られる仕組みになっています。

この内容はスキャンされ順次公開されます。
このページの下の方にある「RESULT」で観ることができます。


1号はこの中学生のインタビューに凄いチカラを感じました。

オープニング集会の公式記者会見レポートページからちょっと引用します。

それでも当初、子供の声をインタビューすることでわたしたちが耳を澄ますべき未来の夢が見えるのではないかと高山氏は考えていた。実際に撮り始めてみて、そう簡単にはいかないことが分かった。中学生を選んだのは、自分自身が一番揺れていた時期に出会いたいという気持ちから。しかし、彼らから自分の夢や希望、言葉を聞くのは容易ではなかった。子供というのは透明な存在である。特に残酷なのは、彼らが何らかのものに憑衣されていることが見えること。彼らは鏡で、突きつけられるのは自分の姿だった―。

クロージング集会で高山明本人も触れていましたが、中学生たちの透明な感じ……1号なりに言い換えるならば知識と社会経験の乏しさゆえに周りの大人たちや社会の雰囲気の影響をもろに受けてしまう感じ、その残酷さというか目を逸らしていた色々な事を突きつけられるような感覚を覚えました。


そしてクロージング集会。
高山明は公演初日のオープニング集会時には公演最終日*2クロージング集会について何も決めずにスタートさせたそうです。

実際に行われたのは各地で行った内容の総括が主でした。

そんなわけでエンターテイメント性はとても低いものでした。集まった数百人の聴衆の中には途中で寝てしまう人もいました。

1号は「お客を楽しませてナンボ」なエンタメ業界の方に慣れ親しんでいるため、自分では発想できないタイプの公演ではありましたが、東日本大震災という非日常的を経た後に演劇的なものは何ができるかについて高山明というクリエイターが模索し悩む過程を見て取ることができました。

本公演は、公益財団法人セゾン文化財団と企業メセナ協議会GBFund(東日本大震災 芸術・文化による復興支援ファンド)の助成を受けて製作されているそうです。有望なクリエイターに対してこのような機会を与える予算の使い方は、非常に建設的であると思います。

Port Bは来年のフェスティバル/トーキョー12でも公演を行う機会を得ると思います。その時、高山明というクリエイターがどの方向へ進んでいくのかを楽しみに待ちたいと思います。

おまけ

公開された国民投票用紙に「いま一番会いたい人は誰ですか?」→「ももいろクローバーZ」と書いているモノノフがいて1号の心を鷲掴みにしてくれました。
思えば佐々木彩夏もまだ中学生なんですよね……